「ゲゲゲの女房」は漫画家・水木しげる氏の夫人・布枝さんのエッセイで、NHKで朝ドラ化された作品です。
面白くておすすめなので、あらすじや感想をまとめました。(一部敬称略で記載しています)
「ゲゲゲの女房」あらすじ
2008年刊行
島根県安来市に生まれた布枝(ぬのえ)さんは、6人きょうだいの3女で大家族に囲まれて育ち、背が高く引っ込み思案な性格の女の子でした。
女学校を卒業後、家業の酒屋を手伝っていましたが、29才で10才年上の鳥取出身の男性(水木しげる)とお見合い結婚をして、上京して調布で暮らしはじめます。
夫・茂は貸本漫画家でしたが、独特な作風(妖怪など不気味な絵柄)や業界自体が不況であることからなかなか人気が出ず、家計をきりつめた生活を送ります。
結婚から数年、茂の漫画が評価され人気雑誌に掲載されるようになると、一気に大人気になり、漫画の賞も受賞し、TVアニメ化も果たします。
布枝さんは2人の娘を育てながら、献身的に夫をサポートします。
朝ドラ「ゲゲゲの女房」の感想・みどころ
放映:2010年
再放送情報:2023年12月~、BS12にて毎週月曜19:00-20:50放映中
水木しげるの人生そのものが波乱万丈で面白い
下積み時代の苦労が想像以上
水木氏が漫画家として人気が出たのは40代半ばのことで、それ以前は貧乏生活を送っていました。
家はボロ屋で、家計は新婚当初から火の車、食べ物も充分に買えないこともあり、ありとあらゆる物を質入れしてやりくりする生活を送ります。弱小出版社に原稿料を踏み倒されるトラブルに遭遇したこともありました。
(家に貧乏神の妖怪が現れるシーンがあり、CGではなく実写で片桐仁さんが演じていて、これがシュールで笑えます)
この頃は、奥さん(ドラマ上の名前は布美枝さん)がアシスタントとして漫画製作を手伝っていて、手先が器用だったのでヘタなアシスタントより役に立っていたそうです。(たとえば布団の柄の部分を書いたりしてた)
奥さんにとっても夫を手伝えるのは嬉しく、幸せな時間だったそうです。
先の見えない生活が数年も続いてたとなると奥さんも不安になってしまいそうですが、奥さんとしては、左腕のない水木氏が鬼気迫る様子で製作に取り組む後ろ姿を見て、「この人はいつかきっと日の目を見るするはず」という確信めいた気持ちがあったそうです。
一気に売れっ子に
講談社児童まんが賞を受賞したのを境に、水木氏は一気に売れっ子漫画家の仲間入りを果たします。
アシスタントを複数人雇って、プロダクション運営は実弟や義姉をはじめとした家族に手伝ってもらい、多忙な時が続きます。
作品はドラマ化・テレビ化され、特に「ゲゲゲの鬼太郎」は何度もアニメ化します。
(ゲゲゲの鬼太郎のテーマソングは水木氏の作詞です。何とも味わい深い曲ですよね)
戦争体験
南方での戦争体験の話もあります。左腕を失った時のこと、現地先住民との交流、玉砕事件のこと
水木しげるの超個性的な生活
水木さんの超個性的な生活がとても面白いです。新婚だというのに家に漫画家志望の間借り人を住まわせていたり(しかも水回りは共用)、妻への近所のおすすめスポットが墓場だったり、両親にあだ名をつけていたり(母はよく怒るのでイカル)
一方で、新婚のとき商店街が遠くて買い出しが大変な奥さんのために自転車を用意してくれたり、奥さんが姉の家にプチ家出したとき迎えに来てくれたり、娘が産まれた時には大喜びしたり、家族を大切にする方であることが伝わって来ました。
(口で良いことを言うのではなく、行動で示すという感じがしました)
少し羨ましい、がとても出来ない、すごいと思う
朝ドラの主人公というと、自分の夢を叶えるために奮闘するというストーリーが定番の中、「ゲゲゲの女房」の布美枝は夫唱婦随といった感じで異例のキャラクターです。
ただ、当時の一般の女性の人生を考えると、このような生き方の方がメジャーであり、多くの人々にとって共感しやすい人物だと思います。
夫を支え、ひたすらついて行く人生で、今の時代はそういうのは許されない感があるので、少し羨ましい気もします。守られてる感じがあるというか。
ただ家父長制的雰囲気の中、気に食わないと夫から怒鳴られたりするのは、時代の違いを感じ、そのようなことに耐えるのも含め、夫を信じてついて行き続けた夫人はすごいと思います。
登場人物とキャスト
このドラマはキャストが豪華で、15年近く経過したいま、第一線で活躍している俳優さんが多く登場しています。
主役の二人がお似合い
妻の布美枝役は松下奈緒さん、水木しげる役は向井理さんが演じていてます。
向井さんがモデルに対しかっこよすぎですが、よく演じていて、向井さんの演じる水木さんも素敵でした。松下さんも妻役が似合っていて、お似合いの夫婦に見えました。
漫画業界の人々が豪華
水木しげるのアシスタント役に、窪田正孝さん、斎藤工さん、柄本佑さん、と現在の主役級の面々が揃っています。(15年近く前の作品なので皆ブレイク前)
・柄本佑さんは、熱意はあるけど要領が今ひとつのアシスタントの菅ちゃん役で、コミカルで良い味出してます。
・窪田正孝さんは、アシスタントの倉田さん役で、主人公の妹・いずみと淡い恋仲になります。そのエピソードがこのドラマいち胸キュンで実話かな?と気になるところでした。
・斎藤工さんは、つげ義春さんをモデルとしたアシスタントの漫画家役で、神出鬼没で無口でミステリアスな男です。
・盟友・乾(いぬい)さんもいい味出しています。無名時代に水木氏の才能を見出し出版も手掛けていた人物で、やがて水木氏が有名になってしまい手が届かない存在になってしまった時の切なさが何ともいえない感じでした。
・眞島秀和さんが、大手漫画雑誌の編集者役として登場します。若々しい熱血サラリーマンぶりが素敵です。
主人公たちの家族
・星野源さんが、布美枝の弟・貴司役を演じています。彼の人生の予想外の展開は原作には登場しませんでしたが、多分事実なのかなと、、とても心に残りました。
布枝さんは弟さんとは、成人してからも酒屋で一緒に働いたり、一番一緒にいる時間が多いきょうだいだったようです。
他にも幼馴染役の杉浦太陽(架空のキャラクター。水木氏をあだなのゲゲと呼ぶのが面白い)、馴染みの質屋のおっちゃんなど、味のある人物が登場します。
水木しげるの作品
水木氏の作品について、ドラマで登場したものを中心に紹介します。
テレビくん(水木しげる漫画大全集):講談社漫画大賞受賞作品
河童の三平(水木しげる漫画大全集):かっぱと少年の物語
墓場鬼太郎:ゲゲゲの鬼太郎の初期作品。目玉のおやじ誕生シーンも収録!
悪魔くん(貸本版):水木氏の初映像化作品
のんのんばあとオレ:幼少期の自伝。近所に暮らしていたお婆さんとの交流を描いています。
総員玉砕せよ!:南方での戦争体験の記録
「ゲゲゲの女房」の動画を見るには
ゲゲゲの女房はNHKオンデマンドで見れます。NHKオンデマンドのお得な視聴方法を下記に記載しています。
(おしんを例に説明していますがゲゲゲの女房も同じです)
ドラマ「おしん」を全話見れる動画配信サイト
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