夏目漱石「こころ」のあらすじ 結末まで分かりやすく

2020年9月27日

夏目漱石の小説「こころ」のあらすじをざっくりと分かりやすくまとめました。こころは ①私と先生の交流 ②私の家の事情 ③先生の手紙の内容三部構成の物語で、よく教科書に掲載されているのは③の抜粋です。

さわりだけではなく結末までネタバレで簡単に要約しました。

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1.「こころ」とは(辞書解説より)

まずは、「こころ」について辞書にわかりやすい説明が載っていたので、以下に転載します。

夏目漱石の長編小説。1914年4月20日~8月11日、『朝日新聞』連載。「先生と私」「両親と私」「先生の遺書」の3部から成る。両親の遺産を叔父に詐取され、人間不信に陥った「先生」は、親友のKを裏切って恋人を得たが、Kの自殺による罪の意識のため、自己苛責の退隠の生涯を過し、明治天皇の死と乃木希典の殉死に触発されてついに命を絶つ。前半は「私」という学生の目で間接的に表現、後半は「先生」の遺書という直接的告白体の対照的手法で、近代エゴイズムが必然に自他を傷つけるというテーマを追求、明治の知識人の孤独な内面をあばいた傑作である。

(ブリタニカ国際大百科事典 電子辞書対応小項目版 より引用)

100年以上も前の作品なんですね。また、明治から大正に時代が移り変わる時期という時代背景も影響しているようです。

2. こころ あらすじ

こころ 上 先生と私

”私”は、夏休みに鎌倉の海水浴場で知り合った”先生”に魅力を感じ(”先生”とは私が年長者を呼ぶときに使う呼び方で、先生が教師だというわけではない)、東京に帰ってからも先生の宅をたびたび訪ねるようになった。

先生は近づきがたい雰囲気を放っていたが、”私”は先生の学問の知識や思想に惹かれ、月2,3回も家を訪ねるようになり傾倒していった。

一方で、先生は厭世的で仕事もせず、何か苦しみを抱えているようだったが、仲の良い奥さんでさえもその理由が分からないとのことだった。(奥さんによると、書生時代の親友の死で人が変わったということだった)

こころ 中 両親と私

”私”は大学卒業後、父の病のため一時帰郷していて、その時、先生から過去を記した手紙を受け取った。(それは遺書でもあった)

こころ 下 先生と遺書

以下は”先生”が”私”に宛てて綴った、先生のこれまでの人生を記した手紙の内容です

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“先生”は、高校生の時両親を相次いで失くした上、叔父に遺産を誤魔化される目に遭い、以来故郷と縁を切り、人間不信になっていた。

しかし大学生になってからは、間借り先の未亡人の奥さんとお嬢さんとの交流のおかげで元気になり、美しいお嬢さんに恋心も抱くようになった。

そんな中、”先生”は、神経症で弱っていた幼馴染の友人Kを、間借り先に一緒に住まわせる事にした。

Kは元気になって嬉しかったが、その内Kもお嬢さんを好きになってしまい(本人に悩みを打ち明けられ知った)、”先生”はひどく苦しんだ。

焦った”先生”は、禁欲的な道を信心するKに対し「精神的に向上心がないものは馬鹿だ」と言い放ち、自分の心はKに告げず、Kを出し抜いて奥さんにお嬢さんとの結婚を申し出て了承された。

しかし数日後、その事を知ったKは自室で命を絶ってしまった。(頸動脈をナイフで切ったことによる)

大学卒業後、”先生”はお嬢さん(今の奥さん)と結婚し幸せではあったが、ずっとKの事に罪の念を持ち続けていた。そして命を絶つ決心をしたので、最後に”私”に真実を記した手紙を残したのだった。

3. こころ 各登場人物について

地方から上京して勉学する学生。先生の学問と知識に傾倒し、謎な面のある先生の事をもっと知りたいと思っていた。「こころ」は、”私”の目を通して見た”先生”の苦悩を描いた物語と言えます。

先生

学問の知識が豊富な男性。新潟出身。現在は奥さんと二人暮らしで、大学を出ているがなぜか仕事をしていない。時々”私”が理解しにくい戒めのような発言をする。(「恋は罪悪」、「人間全体を信用しないんです」、「平生はみんな善人だが、いざという間際に、急に悪人に変るんだから恐ろしいのです」など)

奥さん

静という名前で、きれいな人。先生とは仲の良い夫婦。

K

“先生”の同郷出身の友人。生家が寺だが、中学の時裕福な医者の家の養子になり、東京に出て来たとき先生と同じ下宿に住んでいた。

宗教や哲学という難しい事を好み、医者になることを拒否し大学で別の学部に入ったため養家に勘当され学費のため夜働き、過労と実家からの勘当で、神経症のようになってしまっていた。

生家の宗旨以上に厳しい道を信心していた(恋も道の妨害になるという考え)

遺書らしき手紙には”先生”への批判の言葉は全くなく、「自分は意思が弱いのでこの世を去る」ということが簡単に書かれ、「もっと早く世を去るべきだったのになぜ今まで生きていたのだろう」と書き添えられていた。

間借り先の奥さん

先生のが学生の時住んでいた間借り先の奥さん。(現在の奥さんの母親) ”先生”が自分の境遇をすべて話すと、”先生”の事を親戚のように扱ってくれるようになり、お嬢さんと”先生”が接近することを望んでいるような感じがあった。

一方、Kを一緒に住まわせる事には反対していた。

4. こころ 感想や思ったこと

・はっきりは書いていないですが、先生と私の付き合いは数年に渡る長いものだったと思います。(高校生の頃~大学卒業まで)

・これも明確には書いていないですが、先生は哲学のような学問が専門で、”私”も同じような領域を勉強していたことから、先生に傾倒したのかなと思いました。

・先生は、妻(お嬢さん)にKの事件の真相を隠し通してましたが、自分がもし妻の立場だったら、打ち明けてくれた方が良いかも、と思いました。(何だか分からないわだかまりがあるのは嫌なので) ただ、その一方で、妻がもし真相を知ったら、(悲恋で命を絶った)Kの怨念みたいのを奥さんが感じて苦しむ、という別の苦しみが生まれる気もするので、先生はそこまで見越して隠し通したのかなとも思った。

(知ったとしても、奥さんは多分先生のことは拒否しないと思うし、先生は言うことで少し楽になるかも知れないが、奥さんの心の負担は増える)

・Kは悩みとか苦しみが内側に向かう自責タイプだと思いますが、もし他責タイプだったら、先生がさされて別の事件なっていたのではと思ったりする(ニュースで耳にする男女絡みの事件はそういう感じ)

・大人になって読んで改めて思ったが、夏目漱石の小説は、細やかな人物描写で、文章だけで登場人物の人となりや雰囲気が伝わって来て面白くて、さすが文豪と呼ばれる人の作品は凄いなと思った。