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ある奴隷少女に起こった出来事 あらすじ・結末・ネタバレ

2020年11月1日

地球儀

書籍「ある奴隷少女に起こった出来事」のあらすじ・結末と感想をネタバレでまとめました。この本は100年以上前にアメリカで出版された、奴隷だった女性が自身の人生を記した本です。

出版当時は実名は伏せられ、衝撃的な内容からフィクションと思われてきましたが、研究でハリエット・アン・ジェイコブズという実在女性の著作であることが判明し、近年アメリカでベストセラーになりました。(日本では漫画化もされています)

(原題は Incidents in the Life of a Slave Girl。Amazon本国版では1700超のユーザーレビューが付いています)

「ある奴隷少女に起こった出来事」あらすじ

リンダをはじめ登場人物の名前は作品で使われた偽名です。

アメリカの奴隷の一家に生まれたリンダ

19世紀初頭、アメリカ南部では多くの黒人は、奴隷制に基づき白人の主人の所有物として扱われ人権がない状態だった。(当時のアメリカは、北部は奴隷制廃止を実現し"自由州"、南部は綿花のプランテーションが行われていて奴隷制を認める"奴隷州"だった)

奴隷は時には残忍な扱いを受け、奴隷の親から生まれた子も主人の所有物とみなされていた。主人が奴隷を手放す時は、馬などと同じ場で競売にかけられ金で取引された。

1813年、ノースカロライナ州で奴隷の両親の元に生まれたリンダは、幼い頃は両親と暮らし、母が亡くなった後は優しい女主人の元で幸せに過ごしていた。

フリント家の奴隷になる

しかし女主人が他界した12才からは、弟ウィリアムと共に、白人医師・フリント氏の家(女主人の姉夫妻の家)の奴隷になった。フリント家での扱いは冷たかった。

1年が過ぎた頃、父も他界し、祖母だけがリンダの唯一の頼りになった。祖母は50才の時、所有者が祖母の所有権を買い取ってくれて自由の身にしてくれていたので、家を持つことが出来ていた。

時が過ぎ15才になったリンダは、50才を超えるドクターフリントの性的対象としてみられるようになり、虐待による苦痛の日々が始まった。またフリント夫人からは癇癪と憎しみの対象にされた。

サンズ氏との間に子をもうける

リンダは苦しみ、その耐え難い状況から抜け出す為に、祖母の知り合いでリンダを気にかけてくれていた白人弁護士・サンズ氏との間に子を作った。

その事を知り怒ったフリント夫妻の意向で、リンダは一時的に祖母の家で暮らすことになり、息子を出産したあとも暮らし続けた。

フリント氏からの激しい罵りや嫌がらせを受け続けながらも、19才の時リンダは同じ父親との間に第2子の娘を出産した。

逃亡・潜伏生活

やがてリンダは、将来子供たちを自由にすることを目指し、北部州への脱出を決意した。

リンダは、当時働いていたプランテーション農場から夜中に逃れ、一時的に支援者の屋敷に身を潜めたあと、叔父フィリップの協力で、祖母の家の物置の屋根裏の極小スペースに潜伏した。

同時期、子供達の所有権は父親・サンズ氏に買い取られリンダは安心する。リンダは辛抱強く北部州へ脱出する機会を待ち、フリント氏はリンダを執拗に捜索し続けていた。

リンダは潜伏生活の中、壁の小さな穴から成長していく息子ベニーと娘エレンの様子を見て、心の救いにしていた。しかし高さ90cmで傾斜した屋根の下の、光も入らず身動きも難しいスペースでの先の見えない暮らしは、心身に異常をきたすものだった。

フリント氏はリンダの所有権を主張し続け、リンダが既に北部に渡っていると思い込み、何度か北部州へ捜索に行った。

子の父親であるサンズ氏は、下院議員になり妻を迎えていて、リンダの娘・エレンはサンズ夫妻とともに北部州に渡ることになり、北部州のサンズ氏のいとこに引き取られた。

北部州へ

潜伏生活が7年経ったある日、とうとうリンダはチャンスを得て、友人ピーターの協力で船で南部州からの脱出に成功し、フィラデルフィアを経由してニューヨークに渡った。

娘エレンと再会を果たしたが、サンズの親戚の家で大切にはされていない様子だった。リンダは一刻も早く娘と暮らす日を目指し、英国出身のブルース夫人の家でベビーシッターとして働いた。

やがて息子ベニーも南部州を出てリンダの元に現れた。

自由の身になる

数年後、リンダを理解し助けてくれたブルース夫人は病死してしまったが、時が過ぎてブルース氏が再婚した際にも再び雇用してもらった。新しい夫人もとても道徳観が高い心ある人だった。

やがてドクターフリントが亡くなり、フリント氏の相続人がリンダを連れ戻すためにブルース夫妻の前に現れた。ブルース夫人は金でリンダの所有権を買い取り、リンダを自由の身にした。

「ある奴隷少女に起こった出来事」感想

私からすると奴隷制は遠い米国やアフリカでの話で(世界史も真面目に勉強していなかったのでなおさら)、仕組みも良くわからないなと思っていた所、本屋でこの本を目にして手に取りました。(モデルの杏さんおすすめの帯が付いていたので目を引いた)

米国の奴隷制の中で生きる人生がどのようなものかという事や、奴隷制の仕組み、それがいかに人権に欠けるものだったのかが分かりました。しかし同じ人なのに肌の色で物として扱おうってのがとても不思議でならないです。そして現在のアメリカはそういう過去があって今もあるんだなと思いました。

また、奴隷というと男性の奴隷が労働力として酷使されるというイメージしか持っていなかったので、女性奴隷の扱いの酷さを知り信じられない気持ちで一杯です。そんな中でもあきらめずに、自由を獲得しようというリンダの意思と行動の力が凄いと思いました。

「ある奴隷少女に起こった出来事」の書籍・漫画

書籍

比較的読みやすい文章で書かれていてますので、ぜひ手に取って欲しいです。

漫画

「ある奴隷少女に起こった出来事」は漫画化本も発売されています。

 

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