映画 窓ぎわのトットちゃん の感想をまとめました。書籍では感じなかったことについて綴っています。※一部ネタバレで記載しています
映画 窓ぎわのトットちゃん レビュー
「窓ぎわのトットちゃん」は黒柳徹子さんが自身の小学校生活の思い出を書いた本で、刊行から40年経った今年、アニメ映画化されました。
昭和10年代の日本の様子が伝わってきた
一つは戦時下のこと、もう一つは昭和10年代の暮らしについて、当時の様子がよく伝わってきました。
日本が太平洋戦争に突入した時期の話なので、戦時下でのエピソードがありますが、書籍の方は1話完結のエピソードが沢山ある日記のような形式のため、気に入ったエピソードの印象がどうしても強くなりがちでした。
一方で映画はストーリーにされているので時の流れが感じられ、戦時下に突入し一般市民の生活が変わっていく様が伝わって来ました。(敵性語の使用の禁止や、駅員のおじさんが女の人に変わって行ったり、食料不足など)
そして(自分が文字から十分なものをイメージできる知識がないため)本の文字とアニメーションとでは受け取るものかなりが違って、直接的に戦争を描いているわけではないですが、戦争の足音や身にせまる怖さのようなものを感じ取れました。
暮らしの様子については、既に鉄道や路面電車が走っている一方で、トイレは汲み取り式、電気冷蔵庫はまだなくて氷の冷蔵庫、人々の服装は意外と洋服が多いなど「そんな感じだったんだー」といろいろ新鮮でした。
また、この世代の方が亡くなったら、当時の生活のことや日本での戦争のことを知っている人は本当にいなくなるわけなので、誰もが見やすいこのようなアニメで記録が残されているのは貴重なことだと思いました。
親の心情が伝わってきた
泰明ちゃんに関するエピソードの展開は、知っていても涙が出てしまい(我慢してウエッと嗚咽しそうになりました)、他の客席からもすすり泣きが聞こえました。
トットちゃんの同級生の泰明ちゃんは、小児麻痺により手足が不自由で、普通の子のように元気に外遊びをすることもなかったのですが、トットちゃんがトモエ学園に転校生として来て以来、活発なトットちゃんに引っ張られてプールや木登りなど色々なことにチャレンジするようになります。
泰明ちゃんのお母さんが、汚れた服で学校から帰って来るようになった病身の息子に、喜びと切なさの混じった涙を流すシーンは心にきました。
トットちゃんが泰明ちゃんに与えたパワーはすごいなと思いました。
トットちゃんの飼っていたヒヨコが死んでしまった時に泰明ちゃん本人が言っていたように、時間は短くても、トットちゃんと一緒に過ごせた時間はとても幸せなものだったと思います。
リトミック教育やトモエ学園のことが分かった
トモエ学園ではリトミックという音楽を取り入れた教育が行われていましたが、本だけでは良く分からなかったものが、アニメーションを見て実際にどういうものなのか理解することが出来ました。
また、随所にミュージカル仕立てのアニメーションが取り入れられ、子供たちの楽しそうな様子が表現されていて、色使いもかわいらしくて良かったです。
また、トモエ学園の建物のようすも分かってとても素敵でした。楽しそうな列車の教室や、講堂の藤棚の花が美しくて印象的でした。
その他
トットちゃん役のりりあなちゃんの声がとても上手で違和感がなく、7才にしてすごすぎる!と思いました。大人の声優ではなく子供が演じているのが、映画の雰囲気にとても合っていて良かったです。
小林先生役の役所広司さん、ママ役の杏さん、パパ役の小栗旬さんなどもしっくり来ていてよかったです。
映画は平日の昼間に見ましたが、60-70代位の方など比較的年配の方も多かった印象的です。
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