ある奴隷少女に起こった出来事 あらすじと感想

2020年11月21日

書籍「ある奴隷少女に起こった出来事」は、100年以上前に米国で出版された、奴隷だった女性が自身の人生を記した本です。

出版当時は実名は伏せられ、また衝撃的な内容からフィクションとして思われてきましたが、研究によりハリエット・アン・ジェイコブズという実在女性の著作であることが明確になり、アメリカでは近年ベストセラーになりました。

(原題は 「Incidents in the Life of a Slave Girl」。Amazon本国版では1700超のユーザーレビューが付いています)

以下に簡単なあらすじと感想をまとめました。リンダをはじめ登場人物の名前は仮名です。

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1.「ある奴隷少女に起こった出来事」あらすじ

19世紀初頭、綿花のプランテーションが行われていたアメリカ南部では、多くの黒人は、奴隷制に基づき白人の主人の所有物として扱われ人権がない状態で、時には残忍な扱いを受け、奴隷の親から生まれた子も主人の所有物とみなされていました。(当時のアメリカは、北部は奴隷制廃止を実現し”自由州”、南部は奴隷制を認める”奴隷州”だった)主人が奴隷を手放す時は、馬などと同じ場で競売にかけられ金で取引されるという仕組みでした。

1813年、奴隷の両親の元に生まれたリンダは、幼い頃は両親と暮らし、母が亡くなった後は良心的で優しい女主人の元で幸せに過ごしました。しかし女主人が他界した12才からは、弟ウィリアムと共に白人医師フリント氏の家で奴隷になります。扱いは冷たく、父もその頃他界、近所に住む祖母が唯一の頼りでした。(祖母は、祖母の所有権を買い取ってくれた女主人の姉が、自由の身にしてくれていたので家を持つことが出来ていた)

時が過ぎ15才になったリンダは、妻も子もいる50才を超えるドクターフリントの性的対象としてみなされはじめ、虐待による苦痛の日々が始まります。またフリント夫人からは癇癪と憎しみの対象にされます。

耐え難い状況に置かれたリンダがその状況から抜け出す為に行ったのは、顔見知りでリンダを気にかけてくれていた白人男性サンズ氏との間に子をもうける事でした。

怒ったフリント氏と夫人の意向でリンダは一時的に祖母の家で暮らすことになります。フリント氏からの激しい罵りや嫌がらせを受け続けながらも、リンダは、同じ父親との間に第2子を設けます。

その後主人の指示で働きはじめたプランテーション農場から逃亡を試み成功、一時友人の働く屋敷に身を潜めた後、叔父フィリップの協力を得て祖母の家の物置小屋の屋根裏の極小スペースに潜伏し、何とか執拗な捜索を免れ、北部州に脱出する機会を待つ事になった。

同時期、子供達の所有権は父親であるサンズ氏に買い取られリンダは安心する。また、リンダは潜伏生活の中、壁に空けた小さな穴から成長していく息子と娘の様子を目に出来る事が救いになった。しかし高さ90cmで傾斜した屋根の下の、光も入らず身動きも難しいスペースでの先の見えない暮らしは体に心身に異常をきたすものだった。

リンダに執着しているフリント氏はリンダの所有権を主張し続け、リンダが既に北部に渡っていると思い込み数度北部州へ捜索に行きます。その後子の父親であるサンズ氏は正式な妻を迎え、娘のエレンは北部州に暮らすサンズ氏のいとこに一時的に引き取られます。

潜伏生活が7年経ったある日、とうとうリンダは友人ピーターの協力で船で南部からの脱出に成功します。しかし祖母とは二度と会えない状況になり、息子ベニーは南部に残したまま、フリント氏の執拗な捜索は続きます。親戚に引き取られたエレンは大切にはされておらず、リンダは一刻も早く自分で娘と暮らす日を目指し働き、その内ベニーもリンダの元に現れます。

最終的には、リンダが勤めていた家の主の奥様が大変心ある方で、フリント氏の子が寄こした追っ手と交渉しリンダの所有権を買い取り、リンダを自由の身にします。

2. 感想

奴隷制は米国やアフリカでの話で遠く、(自分が世界史も真面目に勉強していなかったので尚更)仕組みも良くわからないなーと思っていた所、本屋でこの本を目にして手に取って読みました。(モデルの杏さんおすすめの帯が付いていたので目を引いた)

米国の奴隷制の中で生きる人生がどのようなものかという事や奴隷制の仕組み、いかに人権に欠けるものだったのかが分かりました。しかし同じ人なのに肌の色で物として扱おうってのがとても不思議でならないです。そして現在のアメリカはそういう過去があって今もあるんだなと思いました。

また、奴隷というと労働力として酷使されるというイメージしか知らなかったので、女性奴隷の扱いの酷さを知り信じられない気持ちで一杯です。そんな中でもあきらめずに、主人公リンダが何とか自由を獲得しようという意思と行動の力が凄いと思いました。

比較的読みやすい文章で書かれていてますので、ぜひ手に取って欲しいです。