「女帝 小池百合子」のあらすじと感想

2020年8月23日

「女帝 小池百合子」(石井妙子著・文藝春秋)は、東京都知事・小池百合子氏の生い立ち~現在までの半生を、関係者への取材に基づきまとめたノンフィクション本です。話題の本なので、概要と感想をまとめました。(一部ネタバレあり)

感想を一言で言うと「本を読むにつれそら恐ろしさを感じた」。フィクションのサスペンスの小説?!と思えるような怖さも。

なお、本人への取材は実現せず、100人以上の関係者の証言を元にまとめた内容となっていますが、嘘が書かかれているとは思えず内容に信頼性があるように感じます。

以下にいろいろ書いてはいますが、本当にどういう人なのかは交流した人しか分からないかなとも思っています

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1.「女帝 小池百合子」の概要・もくじ

幼少期・生い立ち~学生時代、TVキャスター、政治家として活躍する人生の中での、小池氏の人物像が、本人の著書や関係者の証言を元に時系列で詳細に書かれています。

<目次>
序章   平成の華
第一章 「芦屋令嬢」
第二章 カイロ大学への留学
第三章 虚飾の階段
第四章 政界のチアリーダー
第五章 大臣の椅子
第六章 復讐
第七章 イカロスの翼
終章    小池百合子という深淵

2.「女帝 小池百合子」のあらすじ一部と感想

学歴詐称疑惑のこと

・小池氏の”カイロ大首席卒”という学歴について、当時ルームメイトだった女性から「カイロ大学は卒業できていない」という証言が得られた。またエジプトでどのような生活を送っていたのかも聞くことが出来た。

(その女性が日本の母親と頻繁にやりとりしていた手紙と当時の日記などから記憶をたどり、取材に受け答えしてくれた)

■感想:学歴詐称疑惑は私も耳にしたことはあり、「学歴は重要でないし」気に留めていませんでした。しかし本を読んで、学歴以外にも平然と大きな嘘を沢山ついているらしいと分かり、また自己顕示欲や権力欲のために政治家になったので政治をする事自体に興味がないようで、かなり問題だと感じました。

数々のうそ(ほら吹き)

・「芦屋育ち令嬢」をアピール :実際はお屋敷エリアに住んでいた訳ではなく、中流家庭に育った。また成長するにつれては父親の仕事の失敗で家は借金で困窮していた。

・カイロ大学在籍時に要人の通訳を行った数々の経験を持つと発言 :実際は英語で言うと中学生レベルの語学力で、とてもカイロ大学を卒業できる会話力ではない

・墜落する飛行機に乗りそうになるニアミスを2度も経験、と語る :実際は全然ニアミスしていない

■感想:「言っていることと実際が違う、ない事実を作り上げてしまう」という、ということが色々書かれていてあ然としました。そこまで嘘をまことのように語れるってある意味すごい能力…

政治家としての実際の姿

TV画面を通して見ると、小池氏はリーダーシップを持って政治をすすめているイメージですが、困っている人に最後まで耳を傾け寄り添う感じではないことが分かった。築地移転問題、水俣病問題への対応などの話が書かれていますが、いちばんひどいと感じたのは拉致問題のくだりです。

・2002年に小泉首相が訪朝し、横田夫妻が娘さんの他界を聞かされた時の拉致被害者記者会見の時、会見が終わると政治家たちは慌ただしく会場をあとにして被害者家族と関係者が部屋に残されたが、そこに鞄を忘れた小池氏が慌てて戻ってきて自分のかばんを探し、見つけると大声で「私のバッグ!拉致されたのかと思った」と言ったそうです。

■感想:小池氏だけでなく他の政治家も、メディアが集まる時だけ出来るだけ画面に写り込んで自分をアピールしようとしていることが書かれていて、それ自体ショックな話だし、小池氏の配慮のない発言もびっくりです。

引っかかった点

生い立ちの章で、小池氏といとこの女性を対比的に描いていたのは少し引っかかりました。容姿の勝る従妹と比べられ育ったとのことで、経済的にも恵まれた従妹とは対比的に、小池氏は親の経済問題と容姿の事で苦労して幸せではない的なことを描いている印象を受けたのですが、

身内であれなんであれ、人は誰かと比べられて成り立っているものではないのではと思いました。(それをなぜ知人でもない作者の立場でそう描く?と感じた)

また、三浦瑠麗氏の書評で

・希少価値の高い女性となることや、人気を博することへの小池さんの執着に対する著者の違和感はよく伝わる一方で、その厳しいまなざしが果たして男性の場合にも適用されるのだろうか

・おそらく本書のようなタイプの小池批判は、煎じ詰めれば、「女を使う」「言ってることとやってることが違う」の2つにシンプルに帰着するのだろう」

と書いてありましたが、確かに、どこにでも女を武器に上昇していくタイプの人っているものなで、問題は、”政治に興味がなくてほらばかり”って事だなと感じました。

3. まとめ と 政治について思う事

著書も書いていますが、小池氏を「ひどい!」と非難するのではなくて、そういう人を祭り上げるテレビの発信や、自分も含め視聴者がそれに疑問を持たず受け入れていることが問題と思いました。

(例えば、学歴が本当なのか裏を取らずにTVでちやほやした、政治家になってからは、インパクトのある言動や見た目のファッションは熱心に取り上げるが、政策の一貫性があるのか・どのような成果を出したのかなど本質的なことは追及しない)

この方だけでなく、最近は、何で表面ばかりを繕う口八丁の人、自分の事ばかりの政治家が多い世の中になってるんだろう?と思います。今の選挙制度の仕組みが問題なのか??政治家の報酬が高すぎるから? もちろんそんな政治家ばかりじゃないでしょうが…

また、ここ近年の都知事は政治経験のない有名人のような人が多いですが、それより生え抜きの人や実務を着々とやってくれる人が就任すればいいのにと思います。いっそ都民の投票は廃止して、一般企業みたいに職員の中で出世してって決めるみたいにした方が良いのでは?とも思う。(それはそれで別問題が生じるかもしれませんが)

私は会社員ですが、もし自分の勤めてる会社が、社長だけは常に外から迎える仕組みで、ある日突然業界経験のない芸能人が社長になるんだとしたら、すごい変な話だよなと思います。

都知事に立候補するのにも、『自治体での実務経験5年以上、またはそれに準ずる経験 必須』とか条件つけた方が良いのでは?とも思ってしまいます。そうすれば冷やかしみたいな候補者も少しは減りますよね…

話が少し逸れましたが、本の内容には賛同不賛同色々あると思いますが、とにかく著者渾身の力作の本でおすすめの一冊です。