カミュ「異邦人」あらすじ|”太陽のせい” の意味とは?

2020年7月15日

カミュのデビュー作「異邦人」のあらすじを簡単にまとめました。

冒頭の一文「きょう、ママンが死んだ」が有名な「異邦人」は、文庫本の頁数127ページと少な目で「ペスト」よりは文体やストーリーも難しくなく、さらっと読めて面白い本です。

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1. 事件が起きるまで

アルジェリアの首都、アルジェの輸出関連の会社で働く青年・ムルソーは、老人ホームで暮らす母が亡くなったため葬式に行った。その時の彼は涙を流すこともなく冷静に見えた。

葬式の翌日(週末の土曜)、ムルソーは泳ぎに行った海で、好意を持っていた以前の同僚・マリイと偶然再会し、海で戯れコメディー映画を見た後、部屋で関係を持った。

しばらく後の日曜、ムルソーは、友人・レエモンの誘いで、レエモンの知人のヴィラをマリーと共に訪れた。そしてレエモンと共に海岸を散歩中、前日レエモンに絡んできたアラビア人の男の一団と遭遇した。(一団はムルソー達を憑けて来たと思われる)

(経緯としては、友人レエモンは自分を騙した元彼女に、殴るなどの仕打ちを行っていた。アラビア人の一団は、仕返しに来た彼女の兄とその仲間だった)

男たちはナイフでレエモンの腕に怪我を負わせ、その場を去った。しかしムルソーは砂浜でそのうちの一人と再度鉢合わせた。

ムルソーは、太陽が肌を焼き眉毛に汗がたまるのを感じた。相手も刀を持ち臨戦態勢になったが、ムルソーは汗がまぶたに流れ、太陽と刃で反射した光のちらつき以外何も見えなくなった。ムルソーはレエモンから預かっていたピストルで男を撃ち、命を奪ってしまう。

2. 捕まった後

逮捕されたムルソーは警察で弁護士や判事に尋問を受けた。判事は、ムルソーが5発撃ったうち、1発目と残り4発のあいだに間があったことに疑問を呈した。(ムルソーは答えなかった)

さらに「神を信じるか」と聞き、ムルソーが「信じない」と答えると、判事は神を信じることを強要しヒステリックになった。ムルソーは疲れたので、相手の言うことを肯定するふりをした。

裁判の日、他に話題がなく事件が新聞に取り上げられた影響で、法廷に大勢の人が集まった。母の葬式で涙を見せなかった事、その時母の年齢を聞かれて分からなかった事、葬式の翌日に普通の日のように女と遊んでいたことなどから、ムルソーは冷酷で凶悪な人間で、予め犯罪を計画したというレッテルが貼られた。

言い足すことがないか求められたムルソーは「あらかじめ命を奪おうと意図していたわけではない」と言った。裁判長に動機を問われると、「それは太陽のせいだ」と言った。廷内に笑い声があがった。

弁護側も、ムルソーの日頃の行い(勤勉で人に愛される人間である等)を挙げ、衝動的な犯行を主張したが、下された審判は極刑だった。

刑の日を待つ中、ムルソーは司祭の面会を何度も拒絶し、信仰心を求める司祭の言葉に対し、相手の信念をこき下ろし、「私は私の人生に自信を持っている」とキレて罵った。

怒りで精根尽きて眠り目が覚めた後、ムルソーは、自分は幸福だったし今も幸福であると感じた。

感想・考察

●ムルソーの人物像としては、下記のようなエピソードが描かれています。

・ガールフレンドに「私を愛してるか」と聞かれて「恐らく愛していないと思われる」と答える

・友人レエモンが母の永眠を励ますつもりで「やけになるな」と声をかけられた時、 “何のことやらわからなかった” と、励まされているということを理解出来ない(人は年になったら亡くなるのは当たり前と思っている為)

確かに、一般的に良しとされる対応をしない面があるムルソーですが(愛していないと答えたのは”ばか正直さ”で、母の死に冷静なのは、”情よりも理論・理性の方が強い”思考なのかなと思います)、飄々としている人な感じがします。(銃を撃ったことを除けば)自分は親近感を感じます。

●クイーンの「ボヘミアンラプソディ」の出だしの歌詞は、「異邦人」の影響を受けているという説もあります

まとめ

細やかな自然の変化を敏感に感じ取り、母のこと深く愛していたし、母は亡くならない方が良かったとは思っているムルソーですが、一般常識からすると理解できない行動をする彼は、まるで異邦人のような扱いを受け、事件は実際衝動的なものだったのにもかかわらず、計画的な犯行と決めつけられ極刑が下される、という話でした。

(言うまでもないですが、 「太陽のせい」→ ムルソーが相手と臨戦態勢になった時、強い日差しのせいで、汗の滴が目を覆い視界がなくなった。なので先に相手の刃物で襲いかかられないよう銃を放った、ということだと思います)

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