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「大地の子」あらすじ|日本と中国2人の父、一心が選んだ結末は?

2021年7月4日

大地の子」の原作をあらすじネタバレをまとめました。

「大地の子」は終戦後に中国に残された主人公・陸一心の苦難の半生を描いた、山崎豊子さんの小説です。1995年にNHKでドラマ化され話題を呼びました。(上川隆也さん主演)。以下に結末までのストーリーを要約しました。

物語には、敗戦時にまだ7才だった勝男(一心の日本名)の過酷な運命や、一心を育てた中国人養父・陸徳志との絆、文化大革命で受けた苛酷な弾圧、肉親との運命、政治闘争を絡めた日中巨大製鉄所建設プロジェクトなどが描かれています。

著者が3年に及ぶ現地取材で得た実話を参考に作られていて、心を揺さぶられる作品として有名です。

ドラマも原作と同じ内容なので、ドラマ視聴の際にも参考にできると思います。

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ドラマの視聴方法

2021年夏の再放送は終了しました。NHKオンデマンドで視聴可能です。

1話「父二人」
2話「流刑」 3話「再会」
4話「黒災」 5話「長城」
6話「日本」 7話「兄妹」
8話「密告」 9話「父と子」
10話「冤罪」 11話「長江」

名優が登場し、現地撮影の場面も多く見どころが沢山あります!

<主要日本人キャスト>
上川隆也(陸一心、日本名・松本勝男)、 永井真理子(妹・あつ子)、仲代達矢(実父・松本耕次)、田中好子(実母・タキエ)

<小説とドラマの違い>
小説では、はじめ実父の生存は不明で、松本耕次は中盤からの登場ですが、ドラマでは初回から登場しています。また日本人鬼子として受けた苛酷な仕打ちはドラマでは一部省略されています。

大地の子 1巻 あらすじ(ドラマ版1・2・3話)

1. 小日本鬼子(シャオリーベンクイツ)

1966年に起こった毛沢東主導の政治闘争・文化大革命により、中国では資本主義が批判され、指導者や知識人が糾弾される世の中になった。

陸一心(ルー・イーシン・演:上川隆也)が技術士として働く北京鉄鋼公司でも、工場長などの上役が罪人として晒されごう問を受けた。さらに一心も、日本人戦争孤児だった経歴から無実のスパイ罪を着せられ、小日本鬼子と罵られて、列車で労働改造所に送られた。

2. 陸一心の生い立ち

一心は幼少期は松本勝男(子役:笠原秀幸)という名の日本人で、戦前に長野県から満州に渡った開拓民の家族と共にソ連国境の村に暮らしていた。(父親は1944年に出兵して不在になった)

1945年8月、ロシア軍が大戦に参戦し攻め入って来た報せを受け、7才の勝男は村人と共に村から避難した。しかし一晩かけて着いた宝清(パオチン)の日本軍拠点はもぬけの殻だった。一団は更に満鉄の駅を目指して歩いたものの、過酷な道中で赤子の妹と祖父(演:牟田悌三)をなくし、さらに報復攻撃で村人は全滅状態となり母(演:田中好子)も失った。

勝男と2才下の妹・あつ子は命拾いしたが、それぞれ別の現地農民に引き取られて離ればなれになった。勝男は丁夫婦に引き取られ、大福(ターフー)と名付けられ、家畜の世話や重労働を行った。一度脱走を失敗してからは扱いが人間以下になった。

(惨状を目にしたショックで、自分の日本名や日本語の記憶は失ってしまった)

翌年、大福は何としても冬前に脱走し、汽車で哈爾浜(ハルビン)に行こうと思っていた。9月、大福は放牧中に羊を死なせた罰で小屋に閉じ込められてしまった。大福は一晩かけて建屋の板を外して逃げ、七大河(チータイホ)の駅から貨車に乗った。

(近所の陳おじさんが狼から羊を助けてくれた時、妹を引き取った近所の村の男は長春(ツァンツン)に行ってしまったと聞いていた)

3. 養父・陸徳志との出会い

貨車に長い間揺られ見知らぬ街(長春)に着いた一心は、饅頭を恵んでくれた男に付いて行くと、値段を付けられ街頭で売られた。そこを通りかかった30代半ばの教師・陸徳志(ルートウチ・演:朱旭)が、彼が身につけていた新品の綿入れと引き換えにを大福を解放してくれた。大福は行く当てがなく陸に付いて行った。

徳志は大福を一晩だけ家に泊めるつもりだったが、大福は翌日も居続け、夜高熱を出し医者に黒腋病と診断された。治療の金が出せない徳志は、大福を日本人街に置き去りにしようとしたが心が痛んで出来ず、再び連れ帰った。

その後大福は、陸夫妻の懸命の看病で回復し、子として引き取られることになり"一心"と名付けられた。春になると一心は徳志が勤める学校に入学した。徳志は人格者で周囲に尊敬される人だった。

4. 長春が内戦に遭い引っ越し

翌春、長春は内戦で食料不足に陥り、一家は父の故郷・范家屯(ファンチアトン)に帰郷することを決めた。

卡(チャツ)(関所)には人が殺到し、亡きがらが転がり匪賊もいる恐ろしい状況の中、一家は命がけで関所を越え故郷に着いた。故郷の陸徳志の母は、日本人である一心を養子にしたことに大反対し、一心はいとこ達(徳志の兄の子)にいじめられ、末従妹の秀蘭(シュフラン)だけが一心をかばってくれた。

1949年秋、内戦が終わり毛沢東により新中国が成立した。養父は村に設立された小学校で再び教職に就き、一心もそこに通学した。学校には、逃避行の貨車で出会った少年・袁力本(ユワンリーペン)が、奉公のため転校生として現れた。一心は彼の勉強を助け、体の大きい袁は一心をいじめからかばってくれた。

5. 進学・趙丹青との初恋

父は成績優秀な一心のために、給料の半分近い学費と寮費を捻出し、一心を離れた場所にある初級中学校に進学させた。一心は勉強に打ち込み、週末は徒歩3時間の道のりを歩いて帰宅した。2年生になり抗日運動の授業が始まると、元日本人孤児である一心は、同級生に冷たい目で見られいじめられた。

父は一心の成績が思わしくないことを心配し、勉強時間を取れるよう一家で学校のある町に引っ越すまでのことをした。(代わりに自分が時間をかけて通勤するまでして一心の学業を優先した)

やがて、理系科目が得意な一心は大連工業大学に進学し、機械工を専攻した。大学ではクラスで目立つ存在の趙丹青(ツァオタンチン・演:盖麗麗)に好意を寄せられ、工場実習で怪我を負いそうになった丹青をかばったことで距離を縮めた。卒業間近、一心は丹青に愛を告げ、二人は恋人になった。

しかし一心が自分が日本人であることを告げると、丹青は一転して一心を拒絶し去って行った。一心は絶望的な気持ちになり涙を流した。

6. 囚われの日々

文化大革命の中、無実の罪で捕えられた一心は、寧夏回族(ねいかかいぞく)自治区の黄河支流のダム建設現場で、過酷な肉体労働を強いられた。土砂で命を奪われそうになったこともあり、濁流で命を失う囚人も出た。

1968年の秋、工事が突然中止になり、次は内モンゴルの労改所で羊飼いの作業を与えられた。

ある時、一心は羊の放牧中、聞いたことがある曲の口笛を耳にして、口笛を吹いている囚人の羊飼いの男に意を決して話しかけた。男は黄書海(ホワンシュウハイ・演:薄宏)という元華僑で、曲はさくらさくらという日本の曲で、「君は日本人なのでは?」と聞いてきた。

7. 華僑の黄書海に日本語を教わる・江月梅との出会い

黄は「母国語は忘れるべきではない」と言い、自分が捕らえられた経緯を話した。それ以来一心は放牧中ひそかに、黄から日本語を習うようになった。黄に「いつか中国と日本も国交回復する時がくるかも知れない」と言われたが、一心は夢物語のように感じた。

しばらくして、一心は羊のとさつで破傷風に罹患した。血清を断られかけたが、少し前に、脱輪した医療隊の車を助けたことが評価され、治療を受けられることになり、江月梅(チァンユエメイ・演:蒋文麗)という若い看護婦の献身的な看護で死の淵から回復した。この時一心は、月梅に聞かれ身の上を話した。

秋、一心は囚人仲間の陳の脱走ほう助と、政治学習の本の表紙の内側に50音のかなを書いていたことで、暗号でスパイを企てたことを疑われ、独房に入れられた。一心は、黄が一心を非難する告発に潜ませたヒントに気づき、「崩し字の書家・張旭の字を真似た」と嘘の自白をして極刑を回避し、刑期が15年と確定した。

8. 養父の直訴

陸夫妻は一心の消息が分からないまま4年もの月日を過ごしていた。(勤務先や公安局に問い合わせたが消息がつかめなかった)徳志自身も、日本人を養子にしたという理由で、三角帽を被され歩かされる辱めを受けていたが、なお一心の身を案じていた。

そんな中、徳志あてに”一心がモンゴルの労改所にいる”という匿名の手紙が届いた。

徳志は冤罪を直訴するため、北京の人民来信来訪室の列に小屋を張って寒い中並び続けた。一方、一心に好意を寄せる徳志の姪・秀蘭(演:高常林)は、解放軍の中隊長となった袁力本(演:馮国強)に手紙で窮状を訴えた。

一心の親友であり秀蘭に心を寄せる袁は、すぐさま権力に近い知人に働きかけ、その結果徳志の並び順が早まり冤罪を直訴することが出来た。しばらくして、一心のもとに父からの手紙が届き、絶望の淵にいる一心は希望を見出した。

★用語説明

文化大革命(デジタル大辞泉より)

1966~69年に中華人民共和国で、大衆を動員して行われた政治闘争。毛沢東自身が主導し、直接紅衛兵を動員して、既成の一切の価値を変革すると唱したが、劉少奇を代表とする党・政治機関および学界の実権派からの奪権闘争でもあった。多くの知識人が投獄・殺害され、文闘は武闘に発展、一般にも多くの死者を出してその後の中国社会に深刻な傷を残した。80年代以降「重大な歴史的誤り」として全面否定。

大地の子 2巻 あらすじ(ドラマ版4-5話)

1. 再会

一心を破傷風から救った看護婦・江月梅は、翌年も巡回医療隊に加わりモンゴルに現れた。一心は巡回帰り砂嵐に遭った彼女を助け話し、月梅が父親を文化大革命で失くしたこと、苦難を耐え抜く一心の無実を信じ想ってくれていることを知った。しかし一心は立場上愛を受け取れずその場を離れた。

冤罪を直訴してから半年、父・徳志は教職を免職されてまで再び冤罪を訴えに行き、ようやく一心は解放された。二人は北京駅で再会し、涙を流し抱き合った。

2. 職場へ復帰

職場に戻った一心は図書係の仕事を与えられた。一心は仕事の合間に文献で日本語を学び、解放され戻って来た上司や同僚とも再会を果たした。

1972年、日中国交正常化が締結された。複雑な気持になった一心は、心の内を話したく、以前知らされてた江月梅の勤務先の病院に連絡を取り月梅と再会した。

製鉄所の操業が本格化しないままの中、一心は人事に呼び出され「今後、日中の技術交流が増えるので日本語の翻訳者が必要だ」と告げられ、重工業部(国家機関)への転属を命じられた。

3. 日中製鉄所建設プロジェクト

時は過ぎ1977年、政府要人・鄧平化の意向で中国の金属学会の視察団が日本を訪れた。一行は東洋製鉄の木更津工場などを見学し、最先端の技術に見入った。

38才になった一心は、重工業部の外事司の計画司(企画部のこと)で精力的に働き、私生活では月梅と結婚し3才の娘・燕々(イェンイェン)の父となっていた。

その頃、中国は鉄鋼増産の国策を背景に、夏国鋒総理の肝入りで製鉄所建設の大型プロジェクトが発足した。建設に協力する日本の製鉄会社・東洋製鉄には2年という短期間での建設が伝えられ、また一心もプロジェクトに関わることになった。

4. 残留孤児調査

一心の養父・陸徳志は、公安局から聞いた、日本の肉親が戦争孤児を探す調査のことを一心に告げようとしたが、観光で訪れた万里の長城で、一心が会社の客と遭遇し日本語を流暢に話す姿にショックを受け、言えなくなっていた。

5. 東洋製鉄の松本が上海に赴任

東洋製鉄の木更津工場設備長・松本耕次(演:仲代達矢)は長野出身の元満州開拓民で、出兵後、満州に残した家族(祖父と妻、子の勝男、あつ子、みつ子)や仲間を失ったことに自責の念を抱き続けていた。

業務経験が豊富で中国語が話せる松本は、中国の製鉄所建設プロジェクトに上海事務所長として赴任した。短納期のため、現場では技術交渉に先行し地盤の杭打ちが始まっていた。

6. 宝華製鉄建設スタート

製鉄所建設には、一心の大学時代の恋人・趙丹青も夫婦で参画している上、丹青の父・趙大烈がプロジェクトの総指揮をとっていた。思いがけず再会した丹青は一心に親しげに接して来たが、一心は冷たくあしらった。

建設地の上海で初めての日中の設備検討の会議が行われたが、中国側の要求値が高く日中間で激しい応酬がなされ厳しい雰囲気だった。

松本耕次は東京に戻った折、一時帰国した残留孤児の会見の場に行き、かつての隣家の娘・大沢咲子(演:十勝花子)に再会し、自分の息子と娘が生存していたことを知らされた。

製鉄所建設プロジェクトでは、総額費用について上層部で交渉が行われ(日本がかなり譲歩)、日本の財界人や関係者が参列し宝華(パオホワ)製鉄の起工式の式典が行われた。設備検討の会議以来、一心と松本はプロジェクトの現場で会話を交わすことがあったが、二人とも自分たちの関係に全く気付いていなかった。

大地の子 3巻 あらすじ(ドラマ版6-7話)

1. 日本訪問

一心ら中国側の一団は、延期した工期の建設日程を詰める目的で日本を訪れた。10日超の日程で一心は日本を好意的に感じるようになり、旅館で耳にした民謡や富士山を拝む観光客を見て突然浮かんだ「しなのふじ」という言葉が心に残り、自分が誰なのかを知りたいと感じた。

その頃中国では、国の財政難で当初の約束である東洋製鉄への費用一括払いが難しくなり、プロジェクトの雲行きが怪しくなっていた。製鉄所の建設は政権争いの道具になっていた。

2. 残留孤児調査団が中国を訪れる

東洋製鉄の松本は、仕事が休みの際、訪中した孤児探しの調査団に加わり、長春や哈爾浜を訪ねた。松本は各地で行われた孤児との面接で、孤児の置かれた状況の過酷さを目にし、佐賀開拓団跡では家族と団員を偲びむせび泣いた。そして勃利(ボーリ)で開拓団の生き残りの男児の情報を得て丁の家を訪ね、息子が一時期そこで暮らしていたことを知った。

3. 宝華製鉄所の建設が進む

製鉄所建設が進むなか現場では、中国側が部品の精度に完璧を求め、隙あらば上乗せの加工賃を要求し、日本の技術員を日々苦労させた。趙丹青は、父のコネで着任したとは言え熱心に設計業務に打ち込んでいた。一方丹青の夫・馮長幸(フォンツァンシン・演:廖京生)は、一心が妻の元恋人だと知り一心を敵視していた。

一心は国への入党申請が認められ晴れて党員となり、妻の月梅や故郷の養父母らも入党を祝い喜んだ。

建設が進む中、一心の所属する重工業部計画司に、一心が機密情報を漏らしたと不正を告発する文書が届いた。告発の内容に無理があり嘘の告発とされたが、実は丹青の夫・馮の仕業だった。

4. 建設の凍結

国の財政悪化により、夏首席の経済政策と製鉄所建設への批判が高まり、建設は凍結されることになった。指揮の趙大烈は責任を取らされ僻地へ飛ばされた。

5. 妹・あつ子との再会

一心は、妻が巡回医療で見つけ出した河北省の元日本人女性(演:永井真理子)の家を訪ね、女性が"(犬の)シロ"、"カッチャン"などの言葉や一心が拾ったあつ子のお守りを覚えていたことから、妹・あつ子であることが判明した。

あつ子は童養媳(トンヤンシ)として買われ、重労働をさせられ子を次々と生まされ、結核に冒されボロボロの状態だった。一心はあつ子を病院に入院させた。

6. プロジェクト再始動

夏首席が失脚し、政権に帰り咲いた鄧平化に日本側が対中借款を用意し、製鉄所建設が再開した。

現場では建設再開してすぐ、荷揚げの不手際で、1台1億円の精密機器・ガス絶縁開閉装置(GIS)の梱包に穴が開く事故が起きていたが、このことは隠され、報告されたのは1か月経ってからだった。

これが問題視され、機器の解体点検が行われることになった。

大地の子 4巻 あらすじ(ドラマ版8-11話)

1. 実父が判明

春節の休暇中、一心は容態が悪化した妹・あつ子のもとに駆け付けたが、あつ子は翌日息を引き取った。同じ日、外事科の男が東洋製鉄の松本を連れて張玉花(あつ子の中国名)を訪ねて来た。この時一心と松本が実の親子であることが判明し、二人はしばし呆然とした。

松本はあつ子の死に号泣し、棺を見送るまでの間、これまでのことを一心と話した。

休み明け一心は、実父が東洋製鋼の松本であることが判明したと党に報告した。党は日本側との交渉を優位に運ぶのに一心を利用するため、松本との関係は周囲には内密にして一心をプロジェクトに参画させ続けることにした。

2. GIS装置の開梱点検

日中の技術員立ち合いの元、ガス絶縁開閉装置(GIS装置)の開梱点検が行われた。

電圧変成器のコイルずれが発見され、中国側が不利な雰囲気になった時、一心は「出荷時に既に破損があったとも考えられる」と信じがたいことを平然と言ってのけた。松本は息子を遠く感じた。

松本は北京への出張の際に、一心の養父・陸徳志の家を訪ね、徳志からこれまでの話を聞き、養父と息子の絆の強さに淋しくなっていた。

先日に続きGIS装置の開梱点検が行われたが、3・4台目の中から事故と無関係の異物が発見され、中国側は強い不信感を持った。一心は上司の指示(暗に「息子の立場を利用して交渉せよと」いう指示)に従い、権限を越えて松本に談判し、GIS40台を取り外しての無償点検という過剰な要求をした。

3. 2度目の訪日・父の家を訪ねる

その後も日中間の話し合いが何度も持たれた結果、中国側の日本での点検立ち合いが行われることになった。

一心ら一団は再び訪日し、GIS装置を製造する関東電気の千葉工場に赴き厳しい点検立ち合いを行った。

日本滞在が3か月近く経った頃、一心は一時帰国していた松本に「家が近くだから家族の位牌に手を合わせに来て欲しい」と声をかけられた。

単独行動が禁止のため行けずにいたが、業務後、取引先と花見が行われた際に抜け出し、父の社宅を訪ねた。一心は皆の位牌に手を合わせ、ありし日の母の写真を見て号泣した。

一心は松本の家を出た時間が遅かったのと、電車の遅延で門限に遅れてしまった。さらに一心の荷物から機密資料の裏工程表が紛失していて、団長から、松本に機密情報を漏洩した疑いをかけられてしまった。

4. 理不尽な異動

帰国後、一心はプロジェクトを外され内モンゴルの鋼鉄会社への異動を命じられた。(工程表は日本滞在中ホテルで同室だった馮が盗み、帰国後浮気相手の女に預け隠していた)

養父・徳志は一心の未来を思い「中国にいる限り疑いの目をかけられるのであれば、いっそ日本で暮らした方が良いのでは」と一心に言った。

5. 宝華製鉄所の火入れ

一心が内モンゴルに赴任し2年近く経過し、宝華製鉄所の完成が間近となった時、一心の罪が晴れた。趙丹青が、夫が隠し持っていた裏工程表を見つけ党に報告したおかげだった。

出張にかこつけ一心の前に現れた丹青は、これまでのことを許してほしいと詫び、二人は抱擁し合った。

一心は辞令を受けすぐに宝華製鉄所の現場へ復帰し、稼働開始の火入れに立ち会うことが叶った。

製鉄所は無事稼働開始し、日本側も中国側も共に喜びを分かち合い、一心も松本所長と抱き合った。

6. 父子での長江船の旅【結末】

プロジェクトが終了し松本が日本に帰国する前、一心は松本と二人で長江クルーズの旅に出た。

旅の道中、松本は「日本に来ないか」と一心に言った。一心は葛藤したが、これまで中国の大地に育った自分と父との間に埋められない隔たりを感じ、涙を流し「私は、この大地の子です」と、中国を選ぶという答えを出した。

大地の子 感想

・とても読み応えのある小説で夜なべして読みました。作者はものすごい時間と労力をかけて取材を行い、戦争経験世代ならではの入れ込みがあって出来た傑作なのだと思いました。

初めの方は一心が捕らえられ辛い描写が多いですが、名作・力作で素晴らしい作品なので、多くの人に読んで欲しい・見て欲しいと思いました。(ちなみに来年佐藤健さん主演で日曜劇場でリメイクされる話は白紙になったっぽいですね、残念‥)

・満州開拓民の棄民のことは詳しくは知らなかったので、とても驚き、何でそんなことになってしまったのかと思います。

また、感動の再会で終わるのではない物語のラストは腑に落ちて、再会出来ても過ぎた時は戻せない、戦争の代償はあまりにも大きい、という感じがしました。(それでも実父の松本があまりにも気の毒で、時々でも日本に来訪して交流する未来なのだろうなと脳内で勝手に思ってますが‥)ドラマ版の方は中国での未来や希望を描いたイメージでラストを迎えてましたが。

・最近、テレビで中国の一般の人がインタビューに答えているのを見て思ったのですが、少し前は中国人って険しい表情のイメージがあったのですが、今はそうでなくなったなと思いました。約20年前に北京旅行に行った時そう思ったので

「大地の子」で文化大革命の事を知ると、常に言動に気を付け神経を使う状態では、そりゃ険しい顔になるよなーと納得しました。20年位前だとまだその名残があったのだと思います。

・ドラマ版は、小説であった過酷なシーンが省かれていたので、とくに、製鉄所プロジェクト内での父子の葛藤や一心の立場の苦しさがいま一つ分かりにくかった?などとは思いましたが、

それを省いても、映像になると、中国の情景や製鉄所の様子などが目の前にさ現れて感動も増しました。役者さんもそれぞれはまり役でよかったです。(特に一心を取り巻く女性3人(丹青・月梅・秀蘭)はイメージにピッタリでした)

原作

 

大地の子の小説は、文庫本全4巻が刊行されています。(山崎豊子さんというと「白い巨塔」が有名で、他にも多くの作品が映像化されています)

その他

話が少し違うのですが、"あしたのジョー"の漫画家・ちばてつやさんも、満州(今の瀋陽)育ちで、敗戦を迎えて日本に引き揚げるまでのことが「ひねもすのたり日記」というエッセイ漫画に綴られています。

とても面白く、こちらもおすすめです。大変な経験ですが子供の視点で書いてあり楽しく読め、家族愛もあり暖かみが伝わってきます。

陸一心と同じような年代の子でも、日本に戻れた人もいればそうでない人もいるのだな、としみじみと思いました。↓下記に概要をまとめてあります。

ちばてつや「ひねもすのたり日記」|あしたのジョーの漫画家の半生記!

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みずのと

●不朽の名作~最新ものまで色々なドラマや読書を日々楽しんでします ●普段の仕事は会社員で文章を分かりやすくまとめる仕事をしていたことがあります ●東京在住

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