窓ぎわのトットちゃんの続編である「続・窓ぎわのトットちゃん」のあらすじと感想を紹介します。
徹子さんが子供のころに経験した、戦争の影響や女学校での青春時代、NHKの専属女優時代のことが書かれています。
「続・窓ぎわのトットちゃん」概要
もくじ
「寒いし、眠いし、おなかがすいた」
■幸せな日々 ■銀ブラ、スキー、海水浴 ■「足の長さが違うんじゃない?」 ■キャラメルの自動販売機 ■本はともだち ■十五つぶの大豆 ■スルメ味の戦争責任 ■「ショウシュウ レイジョウ ガ キタ」 ■歩兵第一連隊の戦友さん ■パパの出征 ■東京大空襲
トット、疎開する
■一人ぼっちの夜行列車 ■おしっこがしたい ■「お母さま!」 ■キリストの伝説 ■リンゴ小屋の大改造 ■ママ大奮闘 ■「ジンジョッコ描いてけろ」 ■九死に一生を得る ■青物市場の思い出 ■トット、線路にぶら下がる ■「東京に帰りたい」
咲くはわが身のつとめなり
■讃美歌と木魚 ■「咲くはわが身のつとめなり」 ■失恋 ■兼高ローズさん ■放課後のときめき ■香蘭女学校の先生たち ■自由が丘の映画館 ■「オペラ歌手になる」 ■迷い道 ■パパの復員 ■いいお母さんになるには
トット、女優になる
■ゼンマイ仕掛けのフランス人形 ■ヘンな声 ■「トットさま、どちらへ?」 ■涙の本読み室 ■『ヤン坊ニン坊トン坊』 ■仕事と結婚 ■「メスですか、オスですか?」 ■死ぬまで病気をしない方法 ■兄ちゃん ■文学座に通いながら
■出発のうた
前作「窓ぎわのトットちゃん」は、トットちゃんが小学校高学年位の時、東京に空襲が来る頃までの話でしたが、続編の本作では、その後トットちゃんが大人になるまでのことが書かれています。
前作では小学生のトットちゃんそのままの語り口で書かれていましたが、今回の続編では、もう少し成長した感じ、又は大人の徹子さんが昔を振り返る風の語り口で書かれています。
他の著書で書かれているエピソードと重複する内容もありますが、本作は時系列になっていて分かりやすいです。
後書きに、本作を書くきっかけの一つとして、体験した戦争のことを書き残しておきたかったから、と記されていました。
対象年齢は、高校生くらい~かと思います。
挿絵には、前作同様いわさきちひろさんの絵が使用されています。
「続・窓ぎわのトットちゃん」あらすじと感想
1章 「寒いし、眠いし、おなかがすいた」
黒柳家の暮らしぶり
トットちゃんのパパ・黒柳守綱氏は世界的に有名なバイオリニストで、パパとママはおしどり夫婦で幸せ溢れる家庭です。
一家は洋館に住み、庶民には珍しい美味しい食べ物も食べて、豊かな生活を送っていました。
戦争にまつわる話
トットちゃんがトモエ学園に通っていた小学生の時、太平洋戦争が開戦します。
徐々に日々の食事にも事欠くようになり(1日大豆15粒で過ごさなければないこともあった)、次々と若い男性が出兵し、とうとうパパも召集されてしまいます。
東京大空襲で下町は焼け野原となり、トモエ学園もなくなってしまいます。
<感想>
■黒柳一家は、パパママが仲良くてとても幸せそうで、だからこそトットちゃんは素直で自己肯定感が高く育ったんだなと感じました。
■本にはいくつか写真が載っていて、ママもきれいですが、パパが(お世辞ではなく)本当にかっこいいです。
■戦争のエピソードは身を持って体験した出来事が書かれていて、それに対して子供ながらに感じたこと・後々どう思ったのかが良く分かりました。
(戦争責任について「おやつのスルメにつられて出兵する兵隊さんを万歳で送り出したことについて、後々から後悔を感じるようになった、無責任だった」とありました)
2章 トット、疎開する
ママの奮闘
東京大空襲後、徹子さんたちは青森の知り合いの家でりんごの作業小屋を借りて疎開生活を送ります。
徹子さんは現地の小学校に通うようになり、ママは農協のような所で働いたり、得意の声楽を生かして結婚式の余興や宴会で歌を披露して引き出物を得るなど奮闘し、日々の糧を得ます。
さらには食堂を開いて行商も行って東京の家の再建資金を貯めて、以前と同じ場所に家を再建します。(パパは出兵して5年後に無事帰還します)
<感想>
■ママはいつも前向きで、徹子さんら子供達を不安にさせません。
疎開というと肩身が狭いようなイメージがありますが、そのような感じはありませんでした。きっとママは人をひきつける天性の魅力があって、いるだけで周りの人に喜ばれるような人だったんだと思います。
(とはいえ、ママが決して辛さを見せず徹子さんも苦労したエピソードを書かなかっただけで、実際には苦労もあったと思います)
3章 咲くはわが身のつとめなり
香蘭女学校
終戦から1年経った頃、徹子さんは1人で一足先に東京に戻り、親の知人の家に下宿させてもらいながら香蘭女学校に通うようになります。
授業は仮校舎の九品仏のお寺で行われ、私立の伝統ある女学校でミッションスクールなので、英語教師は本場のイギリス人であったりクリスマス時期には慈善バザーなどのイベントに参加しました。
青春の日々
放課後には、友達の家にお邪魔しておしゃべりしたり映画を見に行ったり、通学途中に初めてラブレターをもらったり、教会の牧師さんに恋したり、青春時代を過ごします。
オペラ歌手を夢見る
「トスカ」を見てオペラ歌手を夢見るようになったトットちゃんは、東洋音楽学校に入学して声楽を学びます。
<感想>
■3章タイトル「咲くは我が身のつとめなり」は、香蘭の校歌の一節です。理念のある素敵な女学校で教養を身に着けられるという境遇がとても羨ましいです。
■ラブレターは、文章が「ふかしたてのサツマイモのようなあなたへ」という例えから始まっていたので、徹子さんはプンプンに怒って破り捨ててしまったそうです(笑)
後から思い返すと当時サツマイモは貴重な食物だったので、きっと好物だったのだろう、悪い例えじゃないかもと思い直したそうですが。
4章 トット、女優になる
徹子さんは、偶然見た人形劇「雪の女王」に刺激を受け、子供に絵本を上手に読んであげれるようになりたいという思いでNHKの求人に応募します。
高倍率(応募者6千人のうち残ったのは28人)の採用試験に合格し、研修期間を経て、徹子さんはテレビ放映開始と同時にNHK専属女優としてデビューし、まもなく大人気になります。
<感想>
この章では、親交のあった渥美清さん、向田邦子さんらとのエピソードや、様々な出演番組の思い出が記されていますので、当時リアルタイムで視聴していた方はとくに楽しめる内容だと思います。
前作「窓ぎわのトットちゃん」について
「窓ぎわのトットちゃん」は、芸能人の黒柳徹子さんが書いた自伝的物語で、徹子さんが通った小学校・トモエ学園での日々が記されています。(「トットちゃん」とは徹子さんの子供の頃のあだ名です)
(12月8日からアニメ映画が放映される予定です)
この本は1981年に出版され戦後最大のベストセラーとなり、翻訳され世界各地でも人気を博しています。
トモエ学園はリトミック教育(音楽を取り入れた教育)を行う私立小学校で、暖かい先生や、さまざまな個性的な同級生に囲まれた、自由で楽しい学校生活の様子が書かれています。
その様子が、教育とは何か、一人ひとりみんな大事なんだ、ということを考えさせられる内容となっています。
「窓ぎわのトットちゃん」あらすじと感想・全もくじ|徹子さんの小学校生活を描いた自伝物語
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