萩尾望都作の漫画・イグアナの娘のかんたんなあらすじと、自分なりの考察をまとめました。
「イグアナの娘」(1992年刊)は母娘の葛藤を描いた短編漫画で、娘・リカが醜いイグアナに見えてしまう母と、母に愛されず苦しむ娘の物語です。
最後にドラマと原作との違いもまとめてあります。
イグアナの娘(原作漫画) あらすじ
青島家には二人の娘・リカとマミがいましたが、母親は長女のリカが苦手で、次女のマミばかりをえこひいきしていました。
(母親の目にはリカが醜いイグアナに見えていた。運動が得意なリカが外で男の子と遊んでいると「女の子らしくない」と否定し、リカの母の日のプレゼントを「無駄使いだ」と怒ったりした)
リカも成長するにつれ自分を醜いと思うようになり、暗い性格になります(実際のリカは美人)が、大学生の時、心から落ち着ける男性に出会います。
リカは大学卒業後すぐ結婚して夫の仕事の都合で遠方に引っ越し、母との葛藤は忘れて心穏やかな日々を過ごします。
数年後、子育てに奮闘しているリカは、母の急逝の連絡を受けます。
実家に駆け付けたリカは、母の死に顔が自分そっくり(イグアナそのもの)なのを見て、母の苦しみを理解し、苦しみを手放します。
イグアナの娘 感想や考察・解説
母の正体
ラストシーンでは、母は実はガラパゴス諸島のイグアナで、人間である男性(のちの夫)に恋をしたため人間に化けていた、というシーンが描かれています。なので母の正体は何かといえば「イグアナ」ということになります。
心理学的な視点
母親が自身の欠点が嫌いで、そこに同じような性格or容姿の娘が生まれてきたら、かわいがったり認めてあげられないということだと思います。
(よくイグアナの娘について醜形恐怖症を描いているという声もありますが、必ずしも見た目だけでなく、性格も含んでいると思います
家庭以外での人間関係でも、自分とキャラかぶりする人がいると何となく落ち着かない、なども似てる心境だと思います)
現実とファンタジーが入り混じった何とも不思議な話ですが、私も姉妹で育ってかなり似た感じ(うちは姉の方がお気に入り)なので、共感する作品です。分かる人にしかわからない作品なのかもしれないですが‥。
きょうだいを比べることについて
子が姉妹2人だと、よほど出来た母親でないと差がつくものかもと思います。姉妹のどちらが可愛がられるかは家庭や母親の性格によると思います。
また、女性は男性よりも何かと比べたがる傾向がある、と心理学の本で読んだことがあり、自分も身に覚えがあるなと感じました。
別のきょうだいの方が良く扱われていると感じたり羨ましがったりはしょっちゅうでした。
ただ、母親との関係が良くなくても、他に認めてくれる人(父親や祖父母など)がいれば、それほど悩まないで済むのかなと思います。
なお、作者の萩尾先生自身が、きょうだいの中で自分だけ母親に否定されることが多く、漫画を描くことも認められなかったそうで、自身の体験から出来た物語のようです。
親との葛藤で悩んでいる人や、そういったことに興味がある方にはおすすめです。
(単行本には「イグアナの娘」以外の短編物語も収録されています)
イグアナの娘・ドラマ版(原作との違い)
1996年にドラマ版「イグアナの娘」が放映されましたが、原作漫画自体が短編で話が短いので、ドラマ化ではオリジナルエピソードがかなり足されています。
ドラマのあらすじは、母親に愛されず自信が持てないリカが、恋愛や友情を通して自分を取り戻して行く、という話で、高校生時代をメインの話にして、漫画にはない親友との友情も描かれています。
「母親のきょうだい差別がひどい!」、「(CG化されてるイグアナが)怖い!」という声もありますが、川島なおみさんと菅野美穂さんが本当の母娘のように見え、原作で伝えたいことが上手く描かれていて面白かったです。(小憎たらしい榎本加奈子さんの妹役もはまってました)
リメイクを望む声も聞かれますが、現状予定はないようです。
「イグアナの娘」を見るには
ドラマの「イグアナの娘」の動画は、テレビ朝日系動画配信サービス「TELASA」などで視聴できます。(初回15日間の無料期間あり)
「イグアナの娘」キャスト
青島リカ(演:菅野美穂)
青島ゆりこ(演:川島なお美):リカの母
青島まみ(演:榎本加奈子):リカの妹
青島正則(演:草刈正雄):リカの父
岡崎昇(演:岡田義徳):リカの幼馴染・同級生
三上伸子(演:佐藤仁美):リカの同級生
橋本かをり(演:小嶺麗奈):リカの同級生
「イグアナの娘」主題歌
エルトン・ジョン「YOUR SONG」