「窓ぎわのトットちゃん」は、トットちゃんこと黒柳徹子さんが過ごした小学校・トモエ学園での日々を書いた自伝的物語で、徹子さんがトモエ学園に入学してから戦争中の疎開で東京を離れるまでの数年間が描かれています。
この本は、1981年に発売され国内で800万部超という戦後最大のベストセラー・日本で一番売れた本で、世界の多くの国でも翻訳されています。
難しい漢字にはふり仮名が振ってあり、文章も分かりやすいので子どもでも読むことができます。また教育者に教育書として読まれたり、小学校の教科書や入試など教材にも多数採用されています。
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窓際のトットちゃん 概要
タイトルの 「窓ぎわ」「トットちゃん」の由来は?
窓ぎわ は、転校前の小学校で、徹子さんが授業中に歩いて窓際でチンドン屋さんを待っていたことや、学校で何となく感じていた疎外感、当時の流行語である "窓際族" に由来し、
「トットちゃん」は徹子さんのあだ名です。(小さい頃、自分のことを「テツコ」と言ってるのが舌足らずで「トット」と言っていたそうです)
もくじ一覧
■はじめての駅 ■窓ぎわのトットちゃん ■新しい学校 ■気に入ったわ ■校長先生 ■お弁当 ■今日から学校に行く ■電車の教室 ■授業 ■海のものと山のもの
■よく噛めよ ■散歩 ■校歌 ■もどしとけよ ■名前のこと ■落語 ■電車が来る ■プール ■通信簿 ■夏休みが始まった
■大冒険 ■肝試し ■練習所 ■温泉旅行 ■リトミック ■一生のお願い! ■一番わるい洋服 ■高橋君 ■とびこんじゃダメ! ■「それからさあー」
■ふざけただけなんだ ■運動会 ■小林一茶 ■とっても不思議! ■手でお話 ■泉岳寺 ■マサオちゃーん ■おさげ ■サンキュー ■図書室
■しっぽ ■二度目の春 ■白鳥の湖 ■畠の先生 ■はんごうすいさん ■「本当は、いい子なんだよ」 ■お嫁さん ■ボロ学校 ■リボン ■お見舞い
■元気の皮 ■英語の子 ■学芸会 ■はくぼく ■泰明ちゃんが死んだ ■スパイ ■ヴァイオリン ■約束 ■ロッキーが、いなくなった ■茶話会 ■さよなら、さよなら
内容を分類すると以下6つに分けられます
- 学園の教育の様子
- 学園の行事
- 学園周辺や登下校時のできごと
- 小林校長先生のこと
- クラスメイトのこと
- 家族のこと
挿絵
表紙や挿絵は、絵本作家のいわさきちひろさんの作品で、内容にマッチしていて素敵です。ちなみに徹子さんは「ちひろ美術館」の館長をされています。
窓ぎわのトットちゃん あらすじ
トモエ学園に入学
バイオリニストの父親を持つトットちゃん(徹子さん)は、公立小学校に入学しますが、授業中に窓から通行人に話しかけたり、机のふたを気が済むまで開け閉めするなど落ち着いて授業を受けられないことから、1年生の途中で学校を退学させられてしまいます。
転校した自由が丘のトモエ学園は、リトミック教育を行う全校生徒50人位の私立学校で、敷地内に置いた電車の車両が教室という個性的な雰囲気の小学校です。(リトミック:19世紀末~スイスの音楽教育家が開発した音楽教育の手法)
小林宗作先生との出会い
校長先生の小林先生はトットちゃんと初めて会った日、トットちゃんの話したいことがなくなるまで4時間近く話を聞いてくれた。そんな大人ははじめてだったので、トットちゃんは嬉しくて、安心感と暖かさを感じた。
小林先生は、いつも徹子さんに「君は、本当は、いい子なんだよ」という言葉をかけてくれました。
あとがきには「その言葉がどんなに自分のこれまでを支えてくれていたか、先生に出会わなかったら、悪い子のレッテルを貼られコンプレックスにとらわれたまま大人になっていたのでは」と書かれています。
生き生きとした学園生活
授業の様子
同学年の児童は全員で10人で、授業は時間割がなく、それぞれ自分が好きな科目から勉強しはじめるやり方で(自習ベースで分からなくなったら先生に聞く)、その日やる教科が早く終われば、午後は好きなことができます。
(近所の寺や川沿いに散歩に行ったりする。自然に触れることで、それが理科や歴史の勉強になった)
みんないっしょ
トモエ学園は、体に障害がある子も含め、皆分け隔てなく自然に過ごせる環境がありました。障害を持った子が大活躍する運動会や、多様性を大切にする小林先生の、児童や先生への接し方が描かれています。
泰明ちゃんのこと(「大冒険」より)
学園の敷地内には子供たち一人ひとりの専用の登る木があって、夏休みのある日、トットちゃんは、仲良しで小児まひの泰明(やすあき)ちゃんを、自分の木に招いて登る冒険をしました。(この泰明ちゃんから、"テレビジョン"というものがあることを初めて聞いた)
将来の夢(「スパイ」より)
「スパイになろうと思ってる」と、頭の良い男の子に話したら「女のスパイは顔がきれいじゃなくちゃなれない」「おしゃべりの子はスパイになれないのでは」と言われてしまいました。トットちゃんは自分がスパイに向いていないことが良く分かり、彼の利口さに驚くばかりでした。
他にも、おてんばな徹子さんがトイレの汲み取り口にはまった話、講堂にテントを張って泊まった学校行事や、トットちゃんを暖かく見守るパパとママ、愛犬・ロッキーのこと、子供ながらに感じ取っていた戦争に関するエピソードなど幅広く書かれていて、心を動かされる話ばかりです。
「窓際のトットちゃん」で伝えたいこと
徹子さんがこの本を書いたのは、ただただお世話になった小林校長先生のことを伝えたかったという理由です。
窓ぎわのトットちゃん 感想
「窓ぎわのトットちゃん」は高校生の時一度読んだのですが、最近「徹子の部屋」を見て、お年を召されてなお頭の回転が速く好奇心旺盛な黒柳徹子さんを、改めて「凄いな」と思い、再び本を手に取りました。
日本では周りの空気を読んで枠にはまろうとすることが多い中、「人間ってもっと自由でいいんだな」と思わされます。子供ごとの個性を尊重し、子供を信じて自主性をはぐくむ教育法が素晴らしく、小林先生のような愛の溢れる先生に出会ったら、子供も生き生きと過ごせて、学校へ行くのが楽しみになるだろうなと思いました。
また、黒柳徹子さんらしい、数々のぶっ飛んだ子供時代のエピソードに笑いました。(徹子さんの子供時代の様子って「赤毛のアン」に似てるなと思いました)
私の中での黒柳徹子さんの一番初めのイメージは、歌番組「ザ・ベストテン」のマシンガントークの個性的な女性司会者、というものです。若い世代の人は全盛期を知らない方も多いと思いますが、知らない方でも楽しめる本なので是非みなに読んで欲しいです。
(余談ですが、トモエ学園は自由が丘の駅前にあったそうです。また「窓ぎわのトットちゃん」は中国では窓辺的小豆豆として1千万部超えしています!)
↓こちらは続編
「窓ぎわのトットちゃん」書籍
窓際のトットちゃん 絵本
絵本も販売されています。イラストが多く、小さな子供にも読みやすいです。
オーディブル
「窓ぎわのトットちゃん」はオーディブルでも聞けます。アマゾンAudible(オーディブル)は、ナレーターによる本の朗読を聴けるサービスで、12万作以上の作品を聞き放題で楽しめます。
月会費は1500円で30日の無料お試し期間があり、「窓ぎわのトットちゃん」は徹子さんご本人による朗読で、さすがプロの朗読!と思わせる臨場感がありました。
黒柳徹子さん作のおすすめ本
徹子さんの他の本も紹介します。
小さいときから考えてきたこと
2001年発売のエッセイ。自分が学習障害(LD)の代表例と言われていることについて思うことや、ユニセフ親善大使の活動で訪れた紛争地の子供達の事、日常の出来事(ex 飼っていたロボット犬・アイボの話)などが書かれています。
「窓ぎわのトットちゃん」は子供の文章風ですが、この本は大人としての考えが書かれ、また子供の頃のエピソードは「窓ぎわのトットちゃん」ともリンクします。
「窓ぎわのトットちゃん」同様、経験した出来事が生き生きと伝わってくる語り口で書かれているのと、常人が体験しない規格外のエピソードを楽しめます。
トットの欠落帖
1993年発売の本。黒柳さんの失敗談・爆笑エピソードが書かれています。私は特に、先輩の披露宴に出席した時の驚愕エピソードがツボで、何日経っても思い出し笑いしました。読むと元気になれる本です。
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黒柳徹子さんについて
1933年東京生まれ。東京音楽大学声楽科卒業後、日本でテレビ放送がスタートした年にNHK放送劇団に入団し、NHKの専属女優として活躍。
その後も数多くの番組や舞台など幅広い分野で活躍し、現在も徹子の部屋の司会者として活躍し、世界ふしぎ発見にはレギュラー出演。
ユニセフ親善大使やろう者の演劇活動など多くの社会貢献活動を行って来ている。パンダ好きで有名。
徹子さんについて下記に詳しくまとめました。
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